技術者コラム

レイノルズ数の違いによる流れの様相の違い

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前回までに円柱後部に発生するカルマン渦をテーマにお話しをさせていただきましたが、今回はレイノルズ数の違いによって円柱回りの流れの違いについてお話をさせていただきたいと思います。 流体現象はレイノルズ数といわれる無次元量が重要な指標になっています。レイノルズ数は慣性力と粘性力との比で定義されますが、ここでは詳細な説明や、数式の提示は控えさせていただきますが、流れの乱れやすさを示す数値だと理解するとイメージしやすいと思います。レイノルズ数が小さいと乱れが無い(もしくは小さく)、大きいと乱れがある(もしくは大きい)といえます。 形状が同じで大きさが違う物体回りの流れがある場合、レイノルズ数が同じであれば同じ現象と考えることができる指標として使用されます。 円柱回りの流れとしては、レイノルズ数が6以下の場合は円柱壁面に貼り付いた流れになります。 レイノルズ数が6以上40以下の場合は双子渦と呼ばれる対称性のある渦となります。 レイノルズ数が40以上になると、交互に発生するカルマン渦と呼ばれる流れになります。 それぞれの流れ場について、お話をさせていただきたいと思います。

右図は、レイノルズ数が1程度の時の流れです。 コンターは、流速値を流入流速値で正規化した無次元量、黒線は流速ベクトルを滑らかに結んだ線(流線)を表示しています。 カルマン渦は発生せず、壁に張り付いた流れになっています。

レイノルズ数約30の場合の流れ場を左図に提示します。 この場合は渦は発生しますが、カルマン渦のような交互に発生する渦ではなく、上下二つに分かれた双子渦と呼ばれる対称性のある渦となっています。

レイノルズ数が40以上になると、カルマン渦が発生する領域となります。 右図にレイノルズ数約60の流れ場を示しますが、はっきりとした渦形状ではないですが、不安定性が出ていることがわかります。

レイノルズ数を上げて、約600の流れ場を左図に示します。 この領域になるとカルマン渦がはっきりとみられるようになりました。 このように円柱回りの流れ場については、レイノルズ数によって様相が変わることがわかりました。

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