流体解析を実施する場合は、解析空間を定義して計算モデルを作成しますが、解析領域が大きいと計算時間が長くなり、解析領域が小さいと妥当な計算結果が得られないという背反がみられます。今回は境界の大きさによる計算結果の違いについて、円柱モデルを用いて確認してみましょう。
解析領域が適正に設定されていると、流速場、圧力場ともに妥当な結果が得られます。
右図を適正な結果と仮定して、領域を小さくするとどのような影響がみられるかを確認してみます。
円柱前側は流れがぶつかるため正圧となり、後側は負圧となります。また、その後部にはカルマン渦による圧力分布がみられます。
後部の境界面を円柱側に近づけて解析をしてみました。円柱前後の圧力についてはあまり違いがみられませんが、カルマン渦の様相が発生しなくなりました。
この場合、カルマン渦が流出境界の影響により発生していない結果と言えそうです。
前側の境界面を円柱側に近づけてみました。
カルマン渦の発生はみられますが、前側の圧力分布の広がりがなくなっています。
これは流入境界の影響によるものと思われます。
流速分布を確認してみました。
後ろ側を円柱に近づけた場合は円柱後部の揺らぎは発生しませんでした。
前側を円柱に近づけた場合でも揺らぎが小さくなっていることがわかりました。