メッシュサイズによる結果への影響では、メッシュサイズによる計算結果と計算時間の影響についてお話をさせていただきました。
今回は、メッシュサイズを変更せず、境界層メッシュの層数を変えた場合に、どのように計算結果に影響がでるかについてお話をさせていただきたいと思います。
流体解析では壁面近傍の流れが重要であり、壁面には境界層メッシュと言われるヘキサやプリズムのメッシュを入れることが多いです。
今回は境界層メッシュの層数による計算結果の違いについて、円柱モデルを用いて確認してみましょう。
右図に境界層メッシュの層数を変えたときの円柱モデルの解析結果を示します。境界層メッシュの層数が増えるに従い、渦の強さが強くなっているように見えます。
計算時間としては、境界層メッシュがない場合を100とすると、境界層メッシュを50層入れた場合は213、円柱にかかる荷重としては、境界層メッシュがない場合を100とすると、318程度になります。
境界層メッシュの層数と、円柱にかかる平均荷重をプロットすると5層程度は必要なことがわかります。
逆に、5層より多くしても荷重は変わらないこともわかります。
評価内容によっては5層でも十分でない例を右のグラフにて説明させていただきます。
時刻歴にて横方向の荷重推移を確認してみました。
境界層メッシュが5層のときは振幅が安定しておらず、10層のときは安定しているように見えます。
平均の値を評価する場合は、境界層メッシュは5層でよかったのですが、時刻歴で評価する場合は10層程度必要なことがわかります。
左のグラフは横軸を境界層メッシュの層数、縦軸を計算時間としてプロットしました。
層数を増加させていくと計算時間も増加しますが、境界層メッシュを50層入れる場合でも入れない場合より2倍程度となっており、メッシュサイズを細かくするよりは増加量が抑えられていることがわかりました。
特に壁面近傍の精度を見直したい場合はメッシュサイズを細かくするより境界層メッシュを見直したほうが良い場合があります。