技術者コラム

【流体解析入門】DNS・LES・RANSの乱流モデルの違いとは?

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「流体解析を始めたいけど、DNS、LES、RANSって何が違うの?どの乱流モデルを使えばいいか分からない…」そう思う方もいるかもしれません。 実は、乱流モデルの選択は、解析精度と計算コストのバランスを決める重要なポイントになります。 この記事では、流体解析における3つの代表的な乱流モデル(DNS・LES・RANS)の違いと特徴を、円柱後部のカルマン渦を例に分かりやすく解説します。
乱流モデルとは、CFDにおける乱流現象をモデル化し、計算負荷を低減するために用いられる手法です。モデル化手法は複数あり、評価内容や現象、計算リソースに応じて適切なモデルを選択する必要があります。今回は乱流モデルの違いについて、円柱後部に発生するカルマン渦の解析を用いて確認してみましょう。

DNS: Direct Numerical Simulation
直接数値シミュレーション

メッシュ解像度が十分な場合、乱流モデルを用いないDNS(Direct Numerical Simulation)を使用することで基礎方程式を直接解くことができます。この手法では、流れに含まれる渦をすべて解像できるほどの細かい格子サイズが必要となり、計算負荷は非常に高くなります。 DNSでは、円柱後部のカルマン渦が最も鮮明に再現されます。

RANS:
Reynolds-Averaged Navier-Stokes
レイノルズ平均モデル

定常流れとして扱う場合は、非定常乱流を再現する必要はなくなるため、定常的な乱流現象を捉えられれば十分と考えられます。この場合はRANS(Reynolds-Averaged Navier-Stokes equations)を用いてモデル化された乱流現象を解きます。時間平均化された乱流の解き方であるため、乱流渦の詳細な再現は難しくなります。 RANSでは、円柱後部の流れ場は得られますが、カルマン渦の詳細な構造は確認しにくくなります。

LES: Large Eddy Simulation
ラージエディシミュレーション

非定常の乱流現象をDNSより低い計算負荷で計算したい場合は、LES(Large Eddy Simulation)等のサブグリッドモデルを用います。格子で解像できる大きな渦は直接計算し、格子で解像できない小さな渦をモデル化します。RANSとは異なり時間平均されないため、非定常の乱流現象を解析することができます。 LESでは、円柱後部のカルマン渦が時間変化も含めて適切に再現されます。

解析結果の比較

円柱後部のカルマン渦は、DNS、LES、RANSの順にはっきりと確認できる結果となることがお分かりいただけたと思います。

まとめ

•DNS:最も高精度だが計算コストが高い
•LES:精度と計算コストのバランスが良く、非定常現象に対応
•RANS:計算コストが低いが、非定常渦構造の再現は困難
流体解析入門者の方は、まず目的に応じてこれらの乱流モデルを使い分けることから始めましょう。

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