技術者コラム

【流体解析入門】境界層メッシュの層数が円柱まわりの流体解析(CFD)結果に与える影響

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「流体解析で境界層メッシュの層数はどれくらい必要なの?」「CFD初心者で最適な層数設定がわからない...」「計算精度を上げたいけど計算時間も気になる」 そう思う方もいるかもしれません。 境界層メッシュの層数は可能な場合、流れの境界層全体をカバーできるように設定します。 この記事では、円柱モデルを使った流体解析(CFD)の実例をもとに、境界層メッシュの層数による計算結果への影響と最適な層数の選び方をご紹介します。
以前の記事「メッシュサイズによる結果への影響」では、メッシュサイズによる計算結果と計算時間の影響についてお話をさせていただきました。 今回は、メッシュサイズを変更せず、境界層メッシュの層数を変えた場合に、どのように計算結果に影響が出るかについてお話をさせていただきたいと思います。 流体解析では壁面近傍の流れが重要であり、壁面には境界層メッシュと言われるヘキサやプリズムのメッシュを入れることが多いです。今回は境界層メッシュの層数による計算結果の違いについて、円柱モデルを用いて確認してみましょう。

境界層メッシュ層数による
渦の強さの変化

図に境界層メッシュの層数を変えたときの円柱モデルの流体解析(CFD)結果を示します。境界層メッシュの層数が増えるに従い、渦の強さが強くなっているように見えます。 計算時間としては、境界層メッシュがない場合を100とすると、境界層メッシュを50層入れた場合は213となります。また、円柱にかかる荷重としては、境界層メッシュがない場合を100とすると、50層で318程度になります。 このことから、境界層メッシュの層数は計算結果に大きな影響を与えることがわかります。

平均荷重評価には5層程度が必要

境界層メッシュの層数と、円柱にかかる平均荷重をプロットすると5層程度は必要なことがわかります。逆に、5層より多くしても荷重は変わらないこともわかります。 つまり、平均的な荷重を評価する場合は、境界層メッシュを5層程度入れることで十分な精度が得られるということです。CFD入門者の方は、まずこの5層を一つの目安として覚えておくとよいでしょう。

時刻歴評価では10層以上が必要

評価内容によっては5層でも十分でない例をグラフで説明させていただきます。 時刻歴にて横方向の荷重推移を確認してみました。境界層メッシュが5層のときは振幅が安定しておらず、10層のときは安定しているように見えます。 平均の値を評価する場合は、境界層メッシュは5層でよかったのですが、時刻歴で評価する場合は10層程度必要なことがわかります。 このように、流体解析において何を評価したいかによって、必要な境界層メッシュの層数は変わってきます。

計算時間への影響

グラフは横軸を境界層メッシュの層数、縦軸を計算時間としてプロットしたものです。 層数を増加させていくと計算時間も増加しますが、境界層メッシュを50層入れる場合でも入れない場合より2倍程度となっており、メッシュサイズを細かくするよりは増加量が抑えられていることがわかりました。 特に壁面近傍の精度を見直したい場合は、全体のメッシュサイズを細かくするより境界層メッシュの層数を見直したほうが良い場合があります。

終わりに

CFD入門者の方は、計算精度と計算時間のバランスを考えながら、適切な境界層メッシュの層数を選択することが重要です。

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