1. Japan Drone 2025で見えた
農業ドローンへの高い関心
課題1:散布ムラの発生
風速や風向の変化により、圃場内での農薬の付着状態にムラが生じます。「きちんと均一に散布できているか」を農家の方に証明することが困難だという声が、展示会でも多く寄せられました。
課題2:周辺圃場への飛散リスク
意図しない周辺エリアへの農薬飛散は、近隣農家とのトラブルや環境への影響につながります。しかし、実際の散布作業では飛散範囲を正確に把握することは不可能でした。
課題3:気象条件の判断基準が不明確
「風が強い日はドローンを飛ばせない」という現場の声がある一方で、具体的にどの程度の風速・風向なら安全に作業できるのか、明確な基準がありませんでした。
3. 流体解析シミュレーションによる
農薬散布の可視化
3.3. 気象条件による散布パターンの違いを定量化
左図はドローンが農薬散布する様子を上から見た図です。図の左側に向かってドローンが進行しています。散布量が多い箇所から赤→オレンジ→黄→緑と色分けして表現しています。この4枚の図は、コンピューター上で気象条件を変化させると、農薬の散布範囲がどのように変わるのかをシミュレーションしたものです。
結果は、向風が3m/sの場合と5m/sの場合で、農薬の飛散パターンが大きく変わることを視覚的に示しています。
3m/sの横風では、散布パターンがずれるだけでなく、圃場への付着状態に顕著なムラが生じることが分かります。この肉眼では捉えられない知見こそ、シミュレーション技術の真価です。
作業可能な気象条件を数値で明確化することで、作業のリスクを低減し、農薬散布の精度と効率を飛躍的に向上させます。
※MSC Software社 scFLOWを利用
4. 現場から寄せられた具体的なニーズ
Japan Drone 2025の展示会で、農業従事者やドローンサービス事業者から以下のような声をいただきました。 散布品質の証明に関するニーズ 「農家の方に、きちんと散布できたことを納得してもらいたい。シミュレーションでそれを証明できるのは魅力的だ」 作業安全性の判断基準に関するニーズ 「風が強い日はドローンを飛ばせない。流体解析で、どのような条件下なら安全に作業できるか、具体的な事例があると助かる」 散布精度の事前確認に関するニーズ 「どこまで農薬が届いているのか、散布にムラがないかが事前に分かると、安心して作業できるので嬉しい」 これらのフィードバックは、農薬散布を可視化し最適化するシミュレーション技術が、現場で強く求められていることを示しています。
5. シミュレーション技術がもたらす
3つの価値
流体解析シミュレーションは、農業現場に以下の価値を提供します。
価値1:作業品質の見える化と証明
散布前のシミュレーション結果と実際の作業条件を照合することで、農家の方に対して散布品質を客観的に証明できます。
価値2:リスクの事前回避
周辺圃場への飛散リスクや散布ムラの発生を事前に予測し、作業計画を最適化することで、トラブルを未然に防ぎます。
価値3:作業効率の向上
気象条件ごとの最適な散布パラメータ(飛行高度、速度、散布量など)を事前に把握することで、現場での試行錯誤を削減し、作業時間を短縮できます。
6. まとめ:シミュレーション技術で
農業の未来を支える
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