技術者コラム

TopCASTのメッシュサイズ設定検証データで見る湯流れ解析の精度比較

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「鋳造CAEのメッシュサイズ、結局いくつにすればいいのか」「解析結果が実機と合わないが何か原因なのか」 そんな悩みを抱える方もいるかもしれません。 メッシュサイズだけですべてが解決するわけではありませんが、計算上の誤差を抑えるうえでメッシュサイズによる誤差の特性を知っておくことは非常に重要であり、解析結果と実機とのズレを減らす着実な一歩になります。その判断軸として重要なのが、製品薄肉部における厚み方向のメッシュ数と、TopCASTが採用するポーラスメディア法という計算手法です。 この記事では、鋳造シミュレーションソフト「TopCAST」の検証モデルを使った2mm・4mm・8mmのメッシュサイズ比較をもとに、TopCASTにおけるメッシュ設定の考え方と、直交メッシュが抱える課題への対処法を解説します。
著者:シミュポ運営事務局 エイイチ
シミュレーションの奥深さに触れつつ、日々勉強に励む事務局スタッフです。 今回は開発チームから直々にレクチャーを受け、ユーザーの皆さまと同じ「そこが知りたい!」の目線で記事をまとめました。 本記事では、鋳造シミュレーションにおけるメッシュ設定の重要性と解析精度について、プロから学んだ専門的な知見を自身の学びを通じて分かりやすく解説します。 現場の悩みに一番近い場所から、納得感のある情報をお届けできるよう奮闘中です。

1.はじめに
メッシュサイズが解析結果に与える影響

鋳造CAEにおいて、メッシュサイズは計算時間と解析結果に大きく影響する設定項目のひとつです。細かくすれば解析精度は良くなりますが、計算コストはその分増加します。一方で粗すぎると、湯流れの挙動を正しく捉えられなくなります。 では、TopCASTでは実際にどの程度のメッシュサイズが適切なのでしょうか。開発チームによる検証結果をもとに、その考え方を整理します。

2.「製品薄肉部で3メッシュ以上」を
推奨する理由

TopCASTの開発チームでは、「製品薄肉部の厚み方向にメッシュが3つ以上重なる設定」を精度確保の目安としています。 2019年のユーザー会で発表された検証事例では、製品薄肉部の厚み方向のメッシュ数1メッシュ・2メッシュ・3メッシュ(それぞれメッシュサイズ2mm・4mm・8mm)の3パターンで比較しています。 解析条件と実行環境は左図の通りです。
計算の結果、今回の検証モデルでは以下のような傾向が確認されました。
・肉厚2メッシュ・3メッシュ:溶湯到達時刻に大きな差は見られませんでした。
・肉厚1メッシュ:他の2条件と比較し、溶湯が最終充填部位に到着するのが早くなることが分かりました。
今回の検証モデルでは肉厚2メッシュでも良好な結果が得られましたが、形状の複雑さや評価項目によっては、より確実な精度を確保するために3メッシュ以上の設定が推奨されます。

3.1メッシュでは何が問題になるのか

製品薄肉部を1メッシュのみで表現すると、溶湯の流速分布を再現できないという問題が生じます。 金型内を溶湯が流れる際、壁面付近と流路の中心では流速が異なります。厚み方向にメッシュが1層しかなければ、この速度の差(速度勾配)を数値として表現できません。その結果、湯流れの到達時刻や挙動に誤差が生じてしまいます。

4.ポーラスメディア法が担う役割

TopCASTが肉厚3メッシュという比較的少ないメッシュ分割数でも実用的な精度を確保できる背景には、ポーラスメディア法(以下、PM法)という計算手法があります。 直交メッシュの形状近似と速度減衰の問題 直交メッシュ(格子状の網目)を使った解析では、製品の曲面が階段状の凹凸として表現されます。そのためメッシュ作成が非常に簡単にできる反面、斜め方向の形状再現度が低く、この影響で壁面付近に非物理的な速度の減衰が生じ、実際の湯流れとかけ離れた結果につながることがありました。

5.ポーラスメディア法の考え方

この問題に対してPM法は、鋳物と型の境界部のメッシュに点群情報を持たせることで体積率や透過率を算出して計算を行います。
 •体積率:そのメッシュ内で鋳物が占められる割合
 •透過率:隣のメッシュへ溶湯が流れ込める面積の割合
これらを計算に組み込むことで、階段状の凹凸による流速の低下が抑えられ、メッシュを過度に細かくしなくても実際の流れに近い結果が得られます。X線観察装置による湯流れの直接観察との比較でも、PM法の導入によって予測精度が大きく向上することが確認されています。

6.おわりに

TopCASTにおけるメッシュサイズの考え方と直交メッシュが抱える課題への対処法はそれぞれ以下となります。
 •製品薄肉部は厚み方向に3メッシュ以上となるようにしましょう
 •直交メッシュの利点を活かしつつ、過度な細分化なしに実用的な精度を確保できるポーラスメディア法を使いましょう
製品形状や鋳造条件によって最適な設定は異なります。今回の検証事例を一つの参考として、個々の製品に合ったメッシュサイズを検討してみてください。

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