3D-OWL®

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3D-OWL

16時間を、1分で。

スパコンを使用しても時間のかかるCAE解析。3D形状を微調整するたびに実施していては、とてもやり切れません。過去の貴重なデータをサロゲートモデルAIに学習させ、新しい形状に対する性能評価を 誰でも、どこでも、 高速に予測できるようにする。それが3D-OWL®(3D-Operation With Learning)です。

例えば、空気抵抗(Cd値)などの数値データだけでなく、左図のように流速や圧力といった分布図の予測も可能です。

ソリューション詳細

『CAEの計算時間が長い』、『CAE専任者の工数が不足している』、『スパコンなど特別な環境が必要』といった理由から、従来の設計工程では設計と性能確認のループを十分に回せないというお声が多くあります。

そこで、CAE専任者ではない設計者が汎用PCでも性能をすぐに確認できるツールを開発しました。これにより、上流工程である意匠デザイナーや設計者がすぐに性能を予測でき、CAE解析は最終確認のみとすることで、大幅な工数低減に貢献します。過去の知見をデータベース化し、継承することで、事業継続のためのプロセス変革を実現します。

■システム概要
学習には、形状ファイル(STL形式もしくはNastran形式のデータ)、設計変数(温度などの条件)、および過去の解析結果である評価値や分布図を使用します。3D-OWL®では、以下の2つの学習モデルがあります。
 ・評価値学習: 実験や解析で得られる性能値を学習します(例:空気抵抗値/Cd値)
 ・分布図学習: 解析結果から得られる分布図を学習します(例:圧力分布)

これらの学習モデルに新しく作成した形状を入力すると、その形状に対する評価値や分布図の予測結果が出力されます。

システム概要

■特許技術: DepthMapと独自ガウス過程を採用 (特開2023-054912)
通常、3次元形状を学習させるためには、非常に多くのリソーセス(PCスペック、計算時間等)が必要です。
そこで、DepthMapと呼ばれる技術を用いて、情報をほぼ損なわずに3次元形状を2次元化。さらに、特許技術であるDepthMapに特化したガウス過程モデルを採用することで、ニューラルネットワークによる学習と比較して非常に高速で、かつ予測の確からしさも出力できるソリューションとなりました。
これにより、例えば学習が不足している形状や、結果に対してどの形状が寄与しているかを特定でき、形状の最適化が可能になります。
DepthMapとガウス過程については、本シミュポの『技術者コラム』にも参考記事がありますので、ぜひご覧ください。

・技術コラム
 ニューラルネットワークとは違う統計的なアプローチ「ガウス過程」 | シミュポ

 3次元形状を2次元化する技術「DepthMap」とは | シミュポ

DepthMap

■豊富な分析機能
3D-OWL®には、学習モデルや予測結果を分析するための便利な機能が搭載されています。
①高速な検定・・・学習と予測のスピードが速く、検定も非常に迅速に行えます
②学習曲線・・・学習が十分であるかどうかを確認できます
③頻度分布・・・学習データベース内で不足している部分を特定できます

ソリューションの強み・特長

  1. CAE解析と比較して超高速

    スパコンを使用しても16時間かかる計算を、たった1分で予測できる超高速なサロゲートモデルAIです。
  2. CAEの専門知識は不要

    CAE専任者に依存せず、意匠デザイナーや設計者が気軽に活用できます。
    CAE解析は最終確認工程のみに頼ることにし、プロセスを変革します。
  3. クラウドやスパコン、高価なGPUなどは不要

    独自技術による軽量なAIモデルで、汎用PCでも十分実行できます。大規模な設備投資は一切不要です。
  4. 予測の確からしさを確認できる

    出力された予測結果が、どのくらい信頼できるのか、が分かります。
  5. 学習データの追加が容易

    ニューラルネットワークとは異なり、学習モデルをゼロから作り直すことなく、素早く学習データを追加して予測精度を向上させることができます。

導入事例

課題・背景

【空力性能のサロゲートモデル構築】
車両開発の初期段階での性能開発において重要です。 特にミニバンは車室空間の確保が優先されがちであり、他の車両よりも意匠と空力性能の両立が求められる傾向があります。意匠の検討段階において、空力性能を予測できるソリューションが必要でした。

提供ソリューション

【ステップ①】ミニバン車両の外形意匠を特徴づける16の設計因子を選定。モーフィング技術を用いて形状を少しずつ変えた3次元データを作成し、それぞれに対してCAE解析を実施することで、形状データとCAE結果のペアからなる学習データを作成しました。

【ステップ①】ミニバン車両の外形意匠を特徴づける16の設計因子を選定。モーフィング技術を用いて形状を少しずつ変えた3次元データを作成し、それぞれに対してCAE解析を実施することで、形状データとCAE結果のペアからなる学習データを作成しました。

【ステップ①】ミニバン車両の外形意匠を特徴づける16の設計因子を選定。モーフィング技術を用いて形状を少しずつ変えた3次元データを作成し、それぞれに対してCAE解析を実施することで、形状データとCAE結果のペアからなる学習データを作成しました。

【ステップ②】3D-OWLを用いて学習データベースを構築。新規の車両形状を作成し、3D-OWLによる予測結果とCAE結果を比較したところ、開発初期段階での目途付けとして十分な精度が得られることが分かりました。

お客様の声

・初期段階での設計目途付けとして活用できそうな良い結果となりました。
・さらにブラッシュアップし、製品への適用を検討したいと考えています。

担当からのメッセージ

生産人口が減少している中で、ベテランのノウハウや技術の伝承、市場投入スピードの向上(=開発リードタイムの圧縮)といった課題がますます重要になってきています。事業継続のためのプロセス変革の一環として、サロゲートモデルAIの活用をトータルでサポートできれば幸いです。

設計者がAIを使っているという意識を持たずに活用できる世界を目指しています。

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