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スパコンを使用しても時間のかかるCAE解析。3D形状を微調整するたびに実施していては、とてもやり切れません。過去の貴重なデータをサロゲートモデルAIに学習させ、新しい形状に対する性能評価を 誰でも、どこでも、 高速に予測できるようにする。それが3D-OWL®(3D-Operation With Learning)です。
例えば、空気抵抗(Cd値)などの数値データだけでなく、左図のように流速や圧力といった分布図の予測も可能です。
『CAEの計算時間が長い』、『CAE専任者の工数が不足している』、『スパコンなど特別な環境が必要』といった理由から、従来の設計工程では設計と性能確認のループを十分に回せないというお声が多くあります。
そこで、CAE専任者ではない設計者が汎用PCでも性能をすぐに確認できるツールを開発しました。これにより、上流工程である意匠デザイナーや設計者がすぐに性能を予測でき、CAE解析は最終確認のみとすることで、大幅な工数低減に貢献します。過去の知見をデータベース化し、継承することで、事業継続のためのプロセス変革を実現します。
■システム概要
学習には、形状ファイル(STL形式もしくはNastran形式のデータ)、設計変数(温度などの条件)、および過去の解析結果である評価値や分布図を使用します。3D-OWL®では、以下の2つの学習モデルがあります。
・評価値学習: 実験や解析で得られる性能値を学習します(例:空気抵抗値/Cd値)
・分布図学習: 解析結果から得られる分布図を学習します(例:圧力分布)
これらの学習モデルに新しく作成した形状を入力すると、その形状に対する評価値や分布図の予測結果が出力されます。
■特許技術: DepthMapと独自ガウス過程を採用 (特開2023-054912)
通常、3次元形状を学習させるためには、非常に多くのリソーセス(PCスペック、計算時間等)が必要です。
そこで、DepthMapと呼ばれる技術を用いて、情報をほぼ損なわずに3次元形状を2次元化。さらに、特許技術であるDepthMapに特化したガウス過程モデルを採用することで、ニューラルネットワークによる学習と比較して非常に高速で、かつ予測の確からしさも出力できるソリューションとなりました。
これにより、例えば学習が不足している形状や、結果に対してどの形状が寄与しているかを特定でき、形状の最適化が可能になります。
DepthMapとガウス過程については、本シミュポの『技術者コラム』にも参考記事がありますので、ぜひご覧ください。
・技術コラム
ニューラルネットワークとは違う統計的なアプローチ「ガウス過程」 | シミュポ
3次元形状を2次元化する技術「DepthMap」とは | シミュポ
【ステップ①】ミニバン車両の外形意匠を特徴づける16の設計因子を選定。モーフィング技術を用いて形状を少しずつ変えた3次元データを作成し、それぞれに対してCAE解析を実施することで、形状データとCAE結果のペアからなる学習データを作成しました。
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